親子で防犯について話し合っていますか?
子どもが大きくなるにつれて行動範囲が広がり、楽しみなことも増えていきます。その反面、事故や事件に巻き込まれたりしないか、不安になることもあるのではないでしょうか。
今回の記事では、親が一方的に防犯について教えるのではなく、親子で一緒に考えることを大切にします。
さまざまな状況について「こんなときどうする?」と話し合う体験を通して、防犯についての知識を深めながら、自分たちなりのルールについても考えていきましょう。
子どもと一緒に防犯について考えてみよう
子どもに防犯について伝えるとき、こんな言葉を使っていないでしょうか?

不審者には気をつけて!



知らない人にはついていかない!



怖い人にあったら逃げるんだよ!
もちろん、どれも身を守るために大切なことです。
しかし、これだけで実際に判断するのは、大人でも難しいのではないでしょうか。
「不審者ってどんな人?」
「怖い人って見た目で分かる?」
「逃げるとしたら、どこに逃げればいい?」
実際の状況を考えてみると、さまざまな疑問が出てきます。
だからこそ、防犯について親が答えを伝えるだけではなく、「こんなときはどうする?」と子どもに問いかけ、一緒に考えてみることも大切です。
子どもの答えを聞きながら「なぜそう思ったの?」とさらに考えてもらったり、迷いやすいことについては親子でルールを決めたりすることで、実際の状況で判断するための準備をしていきましょう。


こんなときどうする?親子で話してみよう
親子で防犯について考えるために、具体的なシチュエーションを使って「こんなときどうする?」と子どもに聞いてみましょう。
最初から正解を教えるのではなく、まずは子ども自身に考えてもらいます。
そして、その答えに対して「どうしてそう思ったの?」と話を広げてみてください。
防犯には、すべての状況に当てはまる一つの正解があるわけではありません。
親子で話し合いながら、「なぜ?」と考える力と、迷ったときに判断するためのルールを一緒に作っていきましょう。
知らない大人から「助けてほしい」と頼まれたら?
まずは、
「知らない大人から道を聞かれたらどうする?」
と子どもに尋ねてみてください。
ここですぐに保護者の方が答えを出すのではなく、子どもの答えをもう少し深掘りしてみます。
例えば、
「道が分からないなら、案内してあげる」
という答えが返ってきたとします。
そこで「ついていったらダメ」とすぐに否定するのではなく、
「どうして案内してあげようと思ったの?」
と聞いてみます。
「道に迷っていたらかわいそうだから」
という答えなら、困っている人を助けたいという気持ちから出た答えかもしれません。
その気持ちを大切にした上で、さらに一歩踏み込んで考えてみましょう。
「自分が道に迷った大人だったら、子どもに助けを求めるかな?」
「スマホや近くのお店もある中で、どうして子どもに聞いたんだろう?」
「一緒に来てほしいと言われたらどうする?」
大切なのは、相手が悪い人かどうかを見た目だけで判断することではありません。
「なぜ、この大人は自分に助けを求めているんだろう?」
と、一度考えることです。
道案内だけでなく、「落とし物を一緒に探してほしい」「ペットを探すのを手伝ってほしい」など、子どもの善意から行動したくなる場面についても親子で話してみましょう。
「お父さん・お母さんに頼まれた」と言われたら?
次は、
「知らない人から『お父さん・お母さんに頼まれて迎えに来た』と言われたらどうする?」
と話し合ってみましょう。
こうした場面では、相手が本当に保護者の知り合いなのか、子どもだけで判断するのは難しいことがあります。
そこで役立つのが、親子であらかじめ決めておくルールです。
例えば、
- 「スマホを持っているなら、その場で保護者に確認する」
- 「自分の知らない人には、何を言われてもついていかない」
など、自分たちの家庭ではどうするのかを話し合って決めておきます。
大切なのは、すべての危険を子ども自身に見抜いてもらうことではありません。
「なぜ?」と考えることと、親子でルールを明確にしておくこと。
この2つを身につけることで、さまざまな状況でも自分で判断するための助けになります。
危険を感じたら、どこに逃げる?
「危険な目にあったら逃げる」
これも防犯では大切なことですが、それだけでは実際にどう行動すればいいのか判断できないことがあります。
「どこに逃げる?」
「誰に助けを求める?」
こうしたところまで親子で一緒に考えてみましょう。
逃げられる場所を親子で考えてみよう
普段使っている通学路や習い事までの道のりの中で、「危険を感じたらどこに逃げられるか」を考えておくことは大切です。
実際に子どもと一緒に歩きながら、
「この辺で怖いことがあったら、どこに逃げられそう?」
と話してみましょう。
逃げられる場所は、一つだけではなく複数考えておきます。
お店や交番、人のいる施設など、普段使う道の中で「ここなら助けを求められそう」という場所をいくつか見つけておくと、状況に応じて逃げる場所を選びやすくなります。
また、可能であれば普段利用しているお店などで親子一緒に挨拶をして、子ども自身も顔を知っている人や場所を増やしておくのも一つの方法です。いざというときにも、まったく知らない場所より助けを求めやすくなるかもしれません。
そして、もう一つ大切なのが、
「決めた場所に必ず逃げなければいけない」というルールにしないことです。
事前に考えておくのは、あくまで「この辺だったら、ここに逃げられそうだね」という選択肢です。
実際に危険を感じたとき、すぐ近くに人のいる場所や逃げ込めそうな場所があれば、事前に話していなかった場所でも構いません。
逃げる場所を覚えることが目的ではなく、普段から「ここなら逃げられそう」と周囲を見ることができるように、親子で考えてみてください。
一人で解決せず、大人に助けを求めよう
もう一つ、子どもに伝えてほしいことが、すべてを一人で解決しようとせず、大人に助けを求めることです。
防犯で重要なのは、自分の力だけで問題を解決することではなく、自分の身を守ることです。
そのためには、自分で考えて行動するだけでなく、周囲の人を頼ることも大切な力です。
「自分で危険を判断できること」と「すべてを自分の力で解決すること」は違います。
危険について自分で考える力を身につけると同時に、「困ったときには大人を頼っていい」「助けを求めることも解決するための方法の一つ」ということも、親子で話しておきましょう。
「守るための勇気」ってなんだろう?
私が子どもの頃、犯罪者と戦って倒すことに憧れていました。
漫画のヒーローのように、危険な相手に立ち向かうことが勇気だと考えていたからです。
しかし、大人になるにつれて、現実ではそうもいかないことが分かってきました。
今でも、人を守るために危険に立ち向かう姿に憧れることはありますし、その勇気を否定する必要もないと思っています。
ただ、ときには「守るために逃げる」という選択も必要です。
お子様の中にも、かつての私のように「危険な相手に立ち向かうことがカッコいい」と考えている子がいるかもしれません。
その気持ちを否定するのではなく、
「守るための勇気ってなんだろう?」
と、一度親子で話してみてはいかがでしょうか。
危険な相手と戦うことだけが勇気ではない
私自身、子どもの頃は、相手がどれだけ強大な敵であっても立ち向かうことが勇気だと考えていました。
その考え方自体が間違っているとは思いません。
しかし、「自分の身を守る」という目的で考えたときには、危険な選択になることもあります。
例えば、
- 「相手がナイフを持っている」
- 「自分より明らかに体が大きい」
- 「まだ逃げるという選択肢が残されている」
そんな状況でも、戦うことが本当に自分を守ることにつながるのか。
ぜひ一度、お子様にも尋ねてみてください。
危険な相手に立ち向かうことだけが勇気ではありません。
戦わずに逃げることも、自分を守るための立派な手段であり、カッコいい選択だと伝えてあげてください。
逃げる・助けを求めることも身を守る行動
護身の基本は、危険から逃げること、そして周囲に助けを求めることです。
これも、とても大切でカッコいい行動です。
自分の身を守るという目的のために最後まで諦めず、厳しい状況でも、どんな方法なら自分を守れるのかを考えて行動し続ける。
私は、それも勇気のある行動だと考えています。
そして、保護者の方から、
「あなたのことが大切だから、危険なときには自分の身を守ることを優先してほしい」
と伝えてあげることも大切です。
ただ「逃げなさい」と教えるだけではなく、なぜ逃げてほしいのか。その理由にある保護者の方の思いまで伝えてみてください。
身近な人から「自分は大切にされている」と感じることは、自分自身のことも大切にしようと思うことにつながるのではないでしょうか。
逃げること、助けを求めること、そして最後まで自分の身を守ることを諦めないこと。
そうした「守るための勇気」について、ぜひ親子で一緒に考えてみてください。
街の中の危険を親子で考えてみよう
親子で防犯について話し合った後は、実際に通学路や習い事に行くまでの道を一緒に歩きながら、街の中にある危険について考えてみましょう。
ここで注目してほしいのは、「どんな人が危険なのか」ではなく、簡単には変わらない「場所=景色」です。
そして、ここで必要なのは正解を出すことではありません。
子ども自身が街を歩きながら、
「ここは危険かもしれない」
「ここはどうだろう?」
と考え、自分で周囲を見て判断する癖をつけることが大切です。


「入りやすい」「見えにくい」場所に注目しよう
正解が一つではないとはいえ、どんな場所が危険なのかを考えるための判断軸はあります。
それが「入りやすい」「見えにくい」という2つの視点です。
例えば、誰でも自由に入れる公園でも、木などに囲まれて外から中の様子が見えにくければ、「入りやすく、見えにくい」場所になります。
また、「見えにくい」というのは、物理的に周囲から見えないことだけではありません。
デパートなど多くの人がいる場所でも、「周りの誰かが何とかするだろう」「親子なのか知り合いなのか分からない」といった理由から、異変があっても周囲から関係性や状況が分かりにくいことがあります。
実際に街を歩きながら、
「ここは入りやすいかな?」
「周りから見えやすいかな?」
「ここで何かあったら周りの人は気づけるかな?」
「どうしてここを危険だと思った?」
など、親子で話し合ってみてください。
犯罪が起きやすい場所については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。


また、「犯罪機会論」「入りやすい 見えにくい」などのキーワードで調べてみると、街の中の危険を考えるヒントを得られると思います。
親子で地域安全マップを作ってみよう
子どもたちの防犯能力を高めるために、親子で「地域安全マップ」を作ってみるのもおすすめです。
実際に通学路などを歩きながら、「入りやすい」「見えにくい」といった視点から場所を観察し、気づいたことを地図にまとめていきます。


ただし、目的はきれいな地図を完成させることではありません。
フィールドワークを通して、
「この場所はどうだろう?」
「どうして危険だと思った?」
「もしここで怖いことがあったら、どこに逃げる?」
と子ども自身が考え、景色から危険性に気づく力を育てていくことが大切です。
また、親子で話し合ったり、フィールドワークの中で地域の人に話を聞いたりすることは、子どものコミュニケーション能力を育てる機会にもなります。
地域の人と触れ合うことで、親子だけではなく、地域を巻き込んで防犯について考えるきっかけにもなるでしょう。
地域安全マップの詳しい作り方については、東京都が教材を公開しています。実際に親子で作る際の参考にしてみてください。
東京都「地域安全マップづくり」
まとめ|親子で防犯について話す機会を作ろう


今回は、子どもの防犯について親子で一緒に考える方法を紹介しました。
「知らない人についていかない」
「危険を感じたら逃げる」
こうしたルールを教えることも大切ですが、それだけでは実際に何か起きたときに判断に迷ってしまうことがあります。
だからこそ、
「なぜ、この人は自分に声をかけてきたんだろう?」
「ここで危険を感じたら、どこに逃げられるだろう?」
「この場所は入りやすく、見えにくくないだろうか?」
と、普段から親子で一緒に考えてみてください。
そして、すべてを子ども一人で解決する必要はありません。
逃げること、大人に助けを求めることも、自分の身を守るための大切な選択です。
防犯について考えることを通して、危険を自分で判断する力と、必要なときには周囲を頼る力、その両方を身につけてほしいと思います。
まずは一度、通学路や普段よく歩く道をお子様と一緒に歩きながら、
「ここで何かあったらどうする?」
と話してみてはいかがでしょうか。
この記事が、親子で防犯について話し合い、自分や大切な人を守ることについて一緒に考えるきっかけになれば幸いです。




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