企業は「人を守ること」にどこまで投資できるか
「企業研修に護身術を」
この言葉を聞いて、すぐに導入しようと思う企業は多くないのではないでしょうか。
それは当然の感覚だと思います。ビジネスマナーや営業研修とは違い、護身術研修は企業の利益に直接還元しにくい分野です。
また、「リスク管理は警備会社に任せている」「トラブルへの対応方法は決めている」という企業もあるでしょう。
しかし、本当にそれだけで十分なのでしょうか。
近年ではカスタマーハラスメントが社会問題となり、対人業務の中で社員自身が危険にさらされるケースもあります。
企業としての安全管理はもちろん大前提です。
そのうえで、実際に危険に直面した一人ひとりが「そのとき、どう行動するのか」まで考えておくことも必要ではないでしょうか
この記事では、企業が護身術研修を導入する意義と、剣護身術が行う企業研修について解説します。
対人業務で社員が危険にさらされるリスク

カスタマーハラスメント
近年、企業にとって無視できない問題の一つが「カスタマーハラスメント」です。
厚生労働省の調査では、過去3年間に従業員から「顧客等からの著しい迷惑行為」について相談があった企業は27.9%。さらに、その影響として63.4%の企業が「通常業務の遂行への悪影響」を挙げています。
カスタマーハラスメントは、社員個人だけでなく企業活動にも影響する問題です。
参考:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査について」
不動産・賃貸管理などでの対人トラブル
顧客とのトラブルが、社員の身体に危険を及ぼすケースもあります。
2026年には東京都内で、家賃滞納や立ち退きをめぐり、対応にあたった関係者が刃物で襲われる深刻な事件も発生しました。
もちろん、このような事件が日常的に起きているわけではありません。
しかし、相手と直接向き合う仕事では、トラブルが社員の身の危険につながる可能性も考えておく必要があります。
介護・福祉現場での対人トラブル
介護・福祉の現場でも、利用者やその家族などから職員がハラスメントを受ける問題があります。
厚生労働省も、介護職員が安心して働ける環境をつくるためのハラスメント対策を求めており、マニュアルや研修教材を公開しています。
利用者を守ることはもちろん、サービスを提供する職員自身を守る視点も必要です。
護身術の前に、企業としての安全管理がある
ここで重要なのは、こうした問題を護身術だけで解決しようとしないことです。
- 企業による安全管理
- 複数人での対応
- 相談体制の整備
- 必要に応じた警察など関係機関との連携
これらが大前提です。
そのうえで、
「それでも現場にいる一人ひとりが危険に直面したとき、どう行動するのか」
そこに護身術研修の役割があると考えています。
「人」を守ることは、企業の価値を守ること
「リスク管理は利益にならない」というのは、本当でしょうか?
企業の利益を生み出しているのは「人」です。人なくして、その企業の発展はありません。
そう考えれば、人を守ることは企業の価値を守ることでもあるのではないでしょうか。
社員が安心して働ける環境をつくることは、「会社が働く人を大切にしている」という姿勢を示すことにもなります。
また、カスタマーハラスメントによって通常業務にも悪影響が生じているという調査結果を見ると、社員を守ることと企業活動は決して無関係ではありません。
人を守ることが企業の価値となり、その価値が結果として企業の利益にもつながっていく。
一見、企業の利益とは関係がないように見える護身術も、人を守り、企業の価値を守るための一つの備えになり得るのです。
企業の護身術研修で身につけたいのは「戦う力」ではない

企業の護身術研修で身につけたいのは、戦う力ではありません。
大切なのは、危険やトラブルを事前に察知し、できる限り回避すること。そして、「想定外を想定内にする」ことです。
人は、まったく想定していなかったトラブルに直面したとき、必ずしもすぐに適切な行動を取れるとは限りません。
だからこそ研修の中で、「もしこうなったらどうするのか」を考え、疑似的に体験しておく。
危険を感じたら距離を取る。逃げられるなら逃げる。それでも危険を避けられない場合に、自分の身を守る。
社員を「戦える人」にすることではありません。
危険に直面したときに、
自分を守るための行動を選べるようにすることが目的です。
剣護身術の企業研修では何をする?
剣護身術の企業研修では、身体を使った技法だけを学ぶわけではありません。
「知識」「心構え」「技術」の3つの側面から、自分の身を守る方法を学んでいきます。

防犯・護身について知る
体術を学ぶ前に、まず防犯・護身についての知識をお伝えしています。
なぜなら、トラブルに遭遇しないことが一番の護身になるからです。
知識を身につけることで、危険を事前に察知したり、危険な状況を避けたりするための考え方を学ぶことができます。
また、「護身術=相手と戦う技術」ではありません。
体術以外にも自分の身を守る方法があることを知り、護身術について正しく理解してもらうことも大切にしています。
防犯・護身の知識には、学んだその日から行動に移せるものもあります。
危険に遭遇してからではなく、遭遇する前から自分の身を守る。
護身術の中でも非常に重要な部分です。
緊急時に行動するための心構えを学ぶ
知識や技術を活かすためには、いざというときに行動するための心構えも必要です。
どれだけ知識や技術を持っていても、恐怖や緊張で頭が真っ白になってしまえば、身につけてきたものを十分に発揮することが難しくなります。
そのため、剣護身術では心構えも重要視しています。
いざというときに自分の力を発揮できる状態をつくるため、呼吸法などを通して恐怖心や緊張をコントロールし、気持ちを整える方法を学びます。
これは護身の場面だけに限りません。
難しい交渉や大切なプレゼンテーションなど、ビジネスにおいて緊張する場面でも、気持ちを整えて自分の力を発揮するために活用できる方法です。
身体を使って身を守る方法を学ぶ
そして最後に、実際に相手と対峙してしまった場合の身の守り方を学びます。
特に人と直接接する仕事では、すべてのトラブルを事前に避けられるとは限りません。
そこで、突発的な攻撃から身を守ったり、逃げるための隙をつくったりするための体術を練習します。
複雑な技を覚えることが目的ではありません。できるだけシンプルで、研修後も繰り返し練習できる技法を中心に学びます。
ただし、護身術を身につけたからといって、100%身を守れるわけではありません。
また、相手を制圧したり、戦って倒したりすることが目的でもありません。
体術はあくまで危険から逃れるための手段の一つです。
技を使うことそのものを目的にせず、身を守ってその場から離れることを優先します。
護身術研修は社員同士のレクリエーションにもなる
護身術研修は、防犯知識を身につけるだけの座学ではありません。
実際に身体を動かしたり、社員同士で技を練習したり、ゲーム形式の練習に挑戦したりと、楽しみながら学ぶことができます。

日頃身体を動かす機会が少ない社員にとっては、運動不足を補う身体活動の機会にもなります。
また、社員同士で技を練習したり、研修後に「こういう場合はどうする?」と護身について話したりすることも、普段とは違ったコミュニケーションのきっかけになります。
安全という重要なテーマを扱いながら、社員同士で身体を動かし、非日常的な体験を共有できることも護身術研修の特徴です。
そして何より、社員同士で「自分たちの身をどう守るか」を考えることで、社内全体で危機管理について考えるきっかけになります。
一度きりの体験で終わらせず、定期的に安全について考える機会として護身術研修を取り入れていただければと思います。
人を守ることが、企業の未来を守る
護身術研修は、営業研修などのように直接利益を生み出すものではないかもしれません。
しかし、企業の価値や利益を生み出しているのは、そこで働く「人」です。
人を守ることは、その人が生み出す企業の価値を守ることでもあります。
もちろん、社員の安全を守るためには、企業としての安全管理や相談体制、複数人での対応、警察など関係機関との連携が大前提です。
そのうえで、それでも一人ひとりが危険に直面したときに、「自分はどう行動するのか」を知っておく。
危険を避けるための知識、緊急時に行動するための心構え、そして最後に自分の身を守るための技術。護身術研修は、こうした備えを実際に体験しながら学ぶ機会になります。

企業の未来をつくるのが人であるなら、その人を守ることも企業の未来を守ることにつながる。
社員の安全について考えるきっかけの一つとして、護身術研修を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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