物騒な事件のニュースを見たり、実際に怖い思いをしたりして、護身術を習って自分の身を守れるようになりたいと考えたことはありませんか?
しかし、興味はあってもなかなかきっかけや勇気がなく、習い始めるまでには至らないという方もいると思います。
そんな方に向けて、今回は自宅でできる護身術の基本動作を4つ紹介します。
また、自宅で練習できることとできないこと、護身術を練習するうえで知っておいてほしい注意点についても解説していきます。
護身術の基本動作は自宅でも練習できる?
護身術の基本動作は、自宅でも練習することができます。
ただし、一人で動作を練習できることと、実際に相手を前にして使えるようになることは別です。
それでも、基本動作を繰り返し練習したり、危険な状況を想定してどのように行動するかを考えたりすることには意味があります。
何も知らない状態よりも、自分にできることや取れる行動の選択肢を少しでも増やすことが大切です。
まずは、自宅でも取り組める4つの基本動作を紹介していきます。
自宅でできる護身術の基本動作4選
いずれも特別な器具を必要としませんが、周囲に十分なスペースを確保し、無理のない範囲で取り組んでください。
青眼の構えと相手を近づけないガード
護身術でまず大切なのは、危険な相手を不用意に近づかせないことです。
剣護身術では、相手との距離を保ちながら自分の身を守るための構えとして「青眼(せいがん)の構え」を使います。
相手を威嚇するための構えではなく、危険を感じたときに自分と相手の間に空間をつくるためのものです。
自宅では、青眼の構えから両手を前後に動かすガードの練習をしてみましょう。

- 足を前後に開き、無理なく動ける姿勢を取ります。
- 両手を顔の前に伸ばし、相手がいることを想定します。この時の両手の隙間は10cm以内にします。ここまでが青眼の構えです。
- 相手が近づいてきたことを想定して両手を前後に素早く動かします。
- 身体が大きく前に倒れたり、バランスが崩れたりしないよう意識します。
相手を想定しながら繰り返すことで、危険を感じたときに手を前へ出す動作を練習できます。
ただし、実際に相手が近づいてきた際に、どの距離で手を出すべきか、どれくらいの力で接触してくるのかといったことは、一人での練習では分かりません。
まずは身体の動かし方を覚えることを目的にしましょう。
素早い足運びと安定した姿勢を身につける体捌き
体捌きとは、素早く身体の向きや立ち位置を変えながら、安定した姿勢を保つための身体操作です。
相手の攻撃を避けるだけでなく、技の威力を高めたり、次の動作へ素早く移ったりするためにも重要な基本技術です。
剣護身術には体捌きの基本が1〜3までありますが、今回は自宅でも練習できる基本1・2を紹介します。
どちらも大きく移動することが目的ではなく、最速・最短の足運びで身体の向きを変え、安定した姿勢をつくる練習です。
体捌き 基本1

- 両足を揃えて立ちます。
- 左足を後ろへ引きながら、身体を真横に向けます。
- 引いた左足は、正面から見て前足(右足)と同じラインに揃えます。
- 頭の位置が上下左右にブレないようにしながら、腰を落として安定した姿勢をつくります。
体捌き 基本2

- 両足を揃えて立ちます。
- 右足を前に出します。
- 後ろに残った左足を、前足(右足)のラインに揃えながら身体を真横に向けます。
- 重心を前に置き、基本1と同じ安定した姿勢をつくります。
体捌き 基本1・2の共通点
どちらの基本動作も、左右を入れ替えて練習しましょう。基本1と基本2では足の運び方が異なりますが、最終的につくる姿勢は同じです。
最初はゆっくりと足運びや姿勢を確認し、慣れてきたら無駄な動きを減らし、素早く行えるようにしていきましょう。
体捌きの基本を繰り返すことで、最速・最短の足運びと、素早く身体の向きを変えても崩れない強い姿勢を身につけることを目指します。
ただし、実際に相手の攻撃を避けたり、体捌きを技の威力につなげたりするためには、相手との距離感やタイミングも重要です。
自宅ではまず基本の足運びと姿勢を練習し、対人練習を通して実際の相手に対応できるようにしていきましょう。
膝蹴り・前蹴りの基本動作
相手から逃げることが難しく、自分の身を守るためにやむを得ず抵抗しなければならない場面も考えられます。
そのようなときに使う技術の一つとして、膝蹴りや前蹴りがあります。
剣護身術では、これらの蹴りを相手にダメージを与えるためだけでなく、相手の動きを止めたり、隙をつくって逃げる機会を生み出したりするためにも使います。
自宅では、まず基本的な動作を練習してみましょう。
膝蹴りの練習方法

- 足を前後に開いて構えます。
- 後ろ足の膝を身体の前方へ引き上げます。
- 膝が相手に当たる瞬間をイメージしながら、腰を前へ出します。
- 膝を素早く引き戻し、元の構えに戻ります。
膝を上げるだけでなく、当たる瞬間に腰を前へ出すことで、相手に突き刺すような膝蹴りにつながります。
前蹴りの練習方法

- 足を前後に開いて構えます。
- 後ろ足の膝を身体の前方へ持ち上げます。
- 膝を伸ばしながら腰を前へ出し、相手に突き刺すように蹴ります。
- 蹴った足を素早く引き戻し、元の構えに戻ります。
どちらの蹴りも、当てた後は素早く脚を引き戻すことが大切です。
蹴りの際の注意点
特に前蹴りでは、脚を出したままにすると相手に足を掴まれる危険があります。
また、威力を出そうとして身体を大きく傾けたり、バランスを崩したりすると、その後に逃げることが難しくなります。
相手に蹴りを効かせられれば良いですが、護身術では相手を倒すことよりも、自分が安全に離れられることを優先します。
そのため、最初はゆっくりと動作を確認し、蹴った後も姿勢を崩さず、すぐに次の行動へ移れることを意識しましょう。
ただし、実際に相手へ当てるには距離感やタイミングが必要です。自宅で蹴りの形を覚えただけで、実際の護身に使えるようになったとは考えないようにしましょう。
相手との距離やタイミングを学ぶには、指導者のもとでミット練習などを行い、段階的に技術を身につけることが大切です。
素早く逃げるための忍者走り
護身術では、相手から離れて安全な場所へ逃げることも重要です。
そのために剣護身術で行っている練習の一つが「忍者走り」です。
忍者走りは、相手から逃げる際に素早く走り出すための身体操作です。
例えば、相手と向き合っている状態から逃げる方向へ振り返るとき、ただ身体を回転させるだけでは、走り出すまでに時間がかかる場合があります。
そこで、振り返る瞬間に頭を低く振り、身体を進行方向へ倒れ込ませるようにして、その勢いを利用して走り出します。
忍者走りの練習方法

- 前方を向いて立ちます。
- 逃げる方向へ振り返ると同時に、頭と重心を低くします。
- 身体が進行方向へ倒れ込む力を利用して、一歩目を踏み出します。
- 低い姿勢から素早く走り出します。
イメージとしては、陸上競技のクラウチングスタートに近い動きです。
最初のスタートダッシュを素早くすることで、相手との距離を一気に広げ、逃げ切るための機会をつくることができます。
大切なのは、ただ速く走ることではなく、振り返ってから走り出すまでの動作を素早く行うことです。
最初は振り返りと一歩目をゆっくり練習し、慣れてきたら動作をつなげていきましょう。
練習場所と転倒への注意
実際に走る際は、周囲に人や障害物がない広い場所で行ってください。室内では無理にダッシュせず、方向転換と一歩目の動作を中心に練習しましょう。
また、身体を倒しすぎて転倒したり、頭を低くしたまま走って周囲が見えなくなったりしないよう注意してください。
実際の場面では、逃げる方向に障害物があったり、複数の相手がいたりすることも考えられます。
そのため、素早く走り出す動作だけでなく、周囲の状況を確認し、安全な逃げ道を選ぶことも大切です。
独学だけでは身につけにくい4つのこと
ここまで自宅で練習できる基本動作を紹介してきました。
一人での練習は、動作を覚えたり、身体をスムーズに動かしたりするために役立ちます。
しかし、護身術は相手がいることを前提とした技術です。
実際に相手と向き合わなければ経験できないことも多くあります。
ここでは、独学だけでは身につけにくい4つの要素を紹介します。
実際の相手から受ける圧力
一人で構えや体捌きを練習しているときには、自分のペースで動くことができます。
しかし、実際に相手が近づいてきたり、強い力で押してきたりすると、思いどおりに動けなくなることがあります。
例えば、ガードの動作を覚えていても、相手が勢いよく近づいてきたときに、姿勢を保ちながら適切に対応できるとは限りません。
相手がいることで生じる圧力は、一人では十分に再現できない要素の一つです。
安全に配慮した対人練習を通して、相手から力を受けたときに自分の身体がどのようになるのかを経験することが大切です。
対人練習ならではの体力的な負荷
筋力や持久力は、一人でもトレーニングすることができます。
しかし、対人練習では相手の動きに対応しながら身体を動かし続けるため、一人で練習するときとは異なる体力的なきつさがあります。
例えば、相手に身体を押されたり、思いどおりに動けなかったりすると、余計な力を使ってしまうことがあります。
さらに、相手の動きを見て判断し続けることで、身体的にも精神的にも疲労を感じることがあります。
普段から運動している人でも、実際に人と向き合って練習すると、想像以上に疲れることがあります。
こうした経験を通して、必要以上に力まないことや、疲れた状態でも動けるようになることが大切です。
相手によって異なる動きや反応への備え
人によって体格や力の強さ、動き方、反応の仕方は異なります。
同じように技を使おうとしても、相手が変われば思いどおりにいかないことがあります。
例えば、正面から近づいてくる相手もいれば、突然腕を伸ばしてきたり、予想とは違う方向へ動いたりする相手もいるかもしれません。
大切なのは、相手によって自分が使う技を必ず変えなければならないということではありません。
自分が同じ動作を使う場合でも、相手の出方や反応によって、対応するタイミングや判断は変わります。
さまざまな相手との練習を通して、人によって動きや反応が違うことを経験し、想定外の状況にも備えておくことが重要です。
緊張や恐怖の中で行動するための準備
一人で練習しているときには落ち着いてできる動作でも、実際に相手と向き合うと緊張してしまうことがあります。
特に、相手が急に動き出したり、強い圧力をかけてきたりすると、焦って普段どおりに身体を動かせなくなることもあります。
対人練習では、こうした緊張を経験しながら、自分がどのように反応するのかを知ることができます。
また、予測できない動きに対応する練習を重ねることで、想定どおりにいかない状況への準備にもなります。
対人練習と実際の暴力の違い
ただし、練習で経験する緊張や恐怖は、実際の暴力で感じるものと同じではありません。
この違いについても理解しておく必要があります。
護身術を練習する際に注意したい「できる」という勘違い
護身術の練習を通して自信がつくことは、とても良いことだと思います。
しかし、その自信が自分の実力に対する勘違いから生まれているとしたら、かえって危険につながる可能性があります。
以前、キックボクシングを習っている女性から、こんな話を聞いたことがあります。SWELL:引用ブロック
「キックボクシングを始めてから、駅で人にぶつかられても、いざとなれば戦える自信があるから怖くなくなった」
しかし、その方が男性とスパーリングをしている様子を見て、私はむしろ怖さを感じました。
男性側は顔への攻撃を避け、パンチも大きく分かりやすい動きで出すなど、明らかに配慮しているように見えたからです。
一方で、その女性はガードをせずに相手へ近づいてしまう場面もありました。
もし相手がそのような配慮をせずに攻撃してきたら、非常に危険な状況になると感じました。
もちろん、安全に練習するために相手の実力に合わせて手加減すること自体は必要です。
問題なのは、相手が手加減していることに気づかず、練習で対応できたことを、そのまま実際の暴力にも対応できる自信につなげてしまうことです。
実際の暴力では、相手がどのような攻撃をしてくるか分かりませんし、こちらに配慮してくれる保証もありません。
さらに、練習では経験できないほどの恐怖や危険があることも忘れてはいけません。
これは女性に限った話ではなく、男性でも、格闘技や護身術の経験者でも同じです。
技術を身につけて自信を持つことは大切ですが、それによって危険を軽く考えてしまっては本末転倒です。
護身術を練習するうえでは、自分に何ができて、何ができないのかを正しく理解することも必要です。
護身術で忘れてはいけないこと
練習でできるようになったことが、必ずしも実際の場面で通用するとは限らない。
そのことを忘れず、危険を避けられるのであれば、無理に戦わないという判断を大切にしてほしいと思います。
まとめ|自宅で基本を学び、対人練習で対応力を磨こう
今回は、自宅で練習できる護身術の基本動作を4つ紹介しました。
青眼の構え、体捌き、膝蹴り・前蹴り、忍者走りなどの基本動作は、一人でも練習することができます。
しかし、動作を覚えることと、実際に相手へ対応できることは別です。
相手から受ける圧力や対人練習ならではの体力的な負荷、相手ごとの動きの違いなどは、実際に人と練習することで初めて経験できる部分があります。
そして、対人練習を重ねても、実際の暴力を完全に再現できるわけではありません。SWELL:ポイントボックス
大切なのは、自分のできることを増やしながら、同時に自分の限界についても理解しておくことです。
まずは今回紹介した基本動作を、自宅で練習してみてください。
そして、実際に相手と練習しながら、より実践的な護身術を身につけたい方は、ぜひ剣護身術の体験稽古にも参加してみてください。

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